Vol.1「星空について調査!」
2012年まで環境省が継続的に調査していた「全国星空継続観察」(現・夜空の明るさを測ってみよう)で、澄んだ清い大気と美しい星空が実証され、星の見えやすさで何度も日本一になったことがある鳥取県。2017年から県全域で星空を楽しめる「星取県」として全国に発信していることも話題です。今回はそんな星取県の星空の魅力について伺います。
お話を伺ったのは…
鳥取市さじアストロパーク 職員
相本 実(あいもとみのる)さん
中学時代に友人の望遠鏡で「木星とおおいぬ座の1等星シリウス」を見せてもらったことをきっかけに星好きになる。社会人経験を経て趣味が高じて星の世界に飛び込む。昼間はプラネタリウム、夜間は103cm大型望遠鏡での観察会を行っている。
『星空保全条例』を知っていますか?
編集部:鳥取県が星空が美しい地域として選ばれ続ける理由は?
相本さん:鳥取県内の観測地点が星空の美しさで何度も日本一に選ばれることの一つの理由として、街の暗さがあります。星がきれいに見えるためには、人工の光が少ない方が良いのは想像がつくと思いますが、「必要以上に光を拡散させない」ということがとても大切になります。
鳥取県には、『星空保全条例』という星空の美しさを守るための条例があり、現在7つの地域が星空保全条例に基づく星空保全地域(※)に認定されています。そんな独自の取り組みも、県下で見上げる星空の美しさを保っている理由の一つだと思います。
※星空保全地域・・・特に優れた星空環境を有し、その環境を保全する必要があると認められる地域。
〈鳥取県内の星空保全地域〉
・鳥取市佐治(さじ)町
・日南町
・若桜町
・倉吉市関金(せきがね)町
・日野町
・八頭(やず)町
・江府(こうふ)町
大山の星空
冬の天の川、見たことありますか?
編集部:「星取県」の星空のすごさって何でしょう?
相本さん:ひとつ言えるのは、県内のどの市町村からでも『天の川』が見えるということです。特に標高の高いところに登らなくても、温泉街から10分ほど散歩したところからでも、条件が揃えば見ることができるんです。みなさん、天の川といえば夏のイメージが強いかも知れませんが、年中夜空には見えているんですよ。ただ、季節や観察時刻によって少し見え方が変わってきます。
天の川は夏より冬の方が全体的に淡くなるのですが、星取県のすごいところは、この冬の天の川も見ることができる地域が多いということなんです。夏のはっきりとした天の川も良いですが、冬の淡い天の川もぜひ見に来てほしいですね。
夏の天の川 撮影場所:さじアストロパーク
冬の天の川 撮影場所:さじアストロパーク
砂丘から見る星空の没入感を知っていますか?
編集部:『星取県』ならでは、という星空の楽しみ方や場所はありますか?
相本さん:みなさんは天体観測といえば、人気の少ない山里や標高の高いところまで車を走らせて…というイメージはありませんか?
鳥取県内にももちろん、さじアストロパーク周辺や大山など人里離れた場所におすすめの星空スポットはたくさんあります。ですが、『星取県』は街からほんの少し離れた安全な場所で星空観賞ができるというのが魅力です。山道を走らなくて良いので、車の運転が苦手という人にも気軽に楽しんでいただける場所がたくさんあります。
私の最近のお気に入りは『湖山池』周辺です。駐車場や遊歩道があり安全にのんびりと楽しむことができますし、都会のような派手さはないですが、視線を横にそらせると町の夜景も星空と一緒に楽しむことができますよ。
もうひとつ、鳥取県ならではという星空の楽しみ方があります。
それは『鳥取砂丘』での星空観賞です。鳥取砂丘では星空観察など楽しいイベントが行われていますが、私のイチオシの観賞方法は、砂丘の大きく窪んだ「すりばち」に身を沈めて夜空を見上げることです。真っ黒な砂に覆われた先に広がる星空はたまりません。他ではなかなか感じられない没入感を得られます。
鳥取砂丘の星空
鳥取砂丘で観察した国際宇宙ステーション
編集部:これからの季節に楽しめる天体現象を教えてください
相本さん:9月10日(土)は中秋の名月です。今年は満月と中秋の名月の日が一致するので楽しみですね。10月22日(土)はオリオン座流星群の極大日になります。条件が良い時は1時間に10個程度の流星を見ることができます。そして、11月8日(火)には皆既月食があります。18時9分から欠けはじめ、19時17分〜20時42分に皆既が起こります。
これからの中秋の名月や流星群などワクワクする天体現象が続きます。
星取県には、県民や星空愛好家がすすめる星空を楽しめるスポットをまとめた『星空MAP』がありますので、参考にしていただき、ぜひ、星取県へお越しください。
- 9月10日(土) 中秋の名月
- 10月22日(土) オリオン座流星群の極大
- 11月8日(火) 皆既月食