ソラギツネの新月通信/
『宇宙船地球号 操縦マニュアル』(バックミンスター・フラー)
宙フェス夜市の番人ソラギツネによる宇宙を感じる作品の紹介。今回はバックミンスター・フラーの『宇宙船地球号 操縦マニュアル』を紹介します。
「宇宙・星」の棚に並んでいる本だけが宇宙の本ではないし、SF映画だけが科学の映画じゃないよね。本、映画、マンガ、ドラマなどのエンタメの中から、ボク、ソラギツネが宇宙を感じる作品を紹介するよ......どんなものにでも宇宙はひそんでいるのさ。

地球が乗り物であることに気がつく筋書きのない物語
『宇宙船地球号 操縦マニュアル』
「宇宙船地球号 操縦マニュアル」は思想家、発明家、建築家など様々な肩書を持ち、現代のレオナルド・ダヴィンチとも評されるバックミンスター・フラーが1968年に出版した本です。
「操縦マニュアル(Operating Manual)」という言葉が入っていますが、スイッチを入れて、アクセルを踏んでという操縦の方法が記載されているわけではありません。
地球という惑星を宇宙船と見なした時、そのデザインは完璧であるにも関わらず、どうして「操縦マニュアル」がついていないのか?という疑問からはじまって「人の知性の歴史」すなわち「操縦マニュアル編纂の過程」が語られます。
私にはこの「宇宙船地球号 操縦マニュアル」という本が、とてつもなく大きな物語の序章のように思えることがあります。
人々が200万年間気がつかずに乗船していた「宇宙船地球号」の存在を伝えるのが序章である本書で、その影響をうけた人々が新しい文化を生み出し続けながら書き足していくようなイメージです。
本書にはストーリーはないし、特定の登場人物がいるわけではありませんが、人に何かを気づかせてイメージを拡大するという意味では、やはり物語なのだと思います。

「宇宙船地球号 操縦マニュアル」
[著]バックミンスター・フラー
[訳]芹沢高志
筑摩書房 (2000/10/1)
(宙フェス夜市編集部)
ソラギツネの新月通信/『宇宙船地球号 操縦マニュアル』(バックミンスター・フラー)