ソラギツネの新月通信/
『はかりきれない 世界の単位』(米澤 敬)
宙フェス夜市の番人ソラギツネによる宇宙を感じる作品の紹介。 第七回は「はかりきれない 世界の単位」を紹介します。
「宇宙・星」の棚に並んでいる本だけが宇宙の本ではないし、SF映画だけが科学の映画じゃないよね。本、映画、マンガ、ドラマなどのエンタメの中から、ボク、ソラギツネが宇宙を感じる作品を紹介するよ......どんなものにでも宇宙はひそんでいるのさ。
数字に囲まれて暮らす日常から少しだけ自由になれる。
「測る」を改めて見直すイラストブック
『はかりきれない 世界の単位』
今では使われなくなった、ちょっとおかしな単位を紹介しているイラストブックです。
猫がひと跳びする距離は「カッツェンシュプルング」、痛さの単位「ハナゲ」…など、様々な時代に色々な国で使われていた、とても実用的とは思えない単位がこの本には沢山紹介されています。
これらの単位は、私達が日頃囲まれている数字(例えば、SNSのフォロワー数やいいねの数、偏差値やカロリー、体重など)とは全く違う価値観で展開されていて、見ている間に少しずつ自分の感覚がグラついて、いつの間にかちょっと元気になれたりします。
単位というのは「大きさ」や「長さ」を自分と他人が同じように理解できるように作られたものですが、その数字にとらわれるあまり、見えなくなってしまう部分もあるように思えます。
私たちは「メートル」や「年月」など、地球の大きさや天体の運行を基準にした単位を疑うことなく使っていますが、そのスケールの中で暮らすことはあくまでも参考程度にしておいて、自分軸やもっと大きな自然の広がりを忘れないでいることの大切さをこの本は教えてくれるようです。
ちなみにわたしのお気に入りは、インドで使われていたという、窓から差し込む日光の中に浮遊するチリの量「トラサレーヌ」です。
では、よい夜を。
「はかりきれない世界の単位」
[著]米澤 敬 [イラスト]日下 明
創元社 (2017/6/23)
1,760円(税込)
(宙フェス夜市編集部)
ソラギツネの新月通信/『はかりきれない 世界の単位』(米澤 敬)