「宇宙・星」の棚に並んでいる本だけが宇宙の本ではないし、SF映画だけが宇宙の映画じゃないよね。本、映画、マンガ、ドラマなどのエンタメの中から、ボク、ソラギツネが宇宙を感じる作品を紹介するよ......どんなものにでも宇宙はひそんでいるのさ。

星を眺めたくなる本
「スティルライフ」(池澤夏樹)
池澤夏樹さんが1987年に発表し、
同年、芥川賞を受賞した小説『スティル・ライフ』。
主人公の青年が、
彼よりいくつか年上と思われる
佐々井と名乗る男と出会い、
理科っぽい話を交わしながら、
少し事件性を帯びた計画に巻き込まれていく。
そんなお話です。
この小説で注目してほしいのが、
冒頭にあるこんな一節。
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大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。 たとえば、星を見るとかして。
二つの世界の呼応と調和がうまくいっていると、毎日を過ごすのはずっと楽になる。心の力を余計なことに使う必要がなくなる。 水の味がわかり、人を怒らせることが少なくなる。 星を正しく見るのはむずかしいが、上手になればそれだけの効果があるだろう。
[池澤夏樹(1991) スティルライフ 中公文庫]
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「星を正しく見る」って、
どういうことなんでしょうか。
簡単なようで、
考えてみると案外むずかしい。
星座を知っていること。
宇宙や物理学について詳しいこと。
星を見るための「正しさ」には、
いろいろなものがありそうです。
でも、この小説を読んでいると、
ここでいう「正しく見る」は、
知識を増やすこととは少し違うように思えてきます。
子どものように。
あるいは、遠い昔の人間のように。
目の前にある夜空を、
まずはそのまま受け入れてみる。
名前をつけたり、意味を求めたりする前に、
ただ空を見上げて、星を見る。
そんな感覚のことを
「星を正しく見る」と言っているような気がしました。

(宙フェス夜市編集部)
1件のコメント
大好きな小説です!