「宇宙・星」の棚に並んでいる本だけが宇宙の本ではないし、SF映画だけが科学の映画じゃないよね。本、映画、マンガ、ドラマなどのエンタメの中から、ボク、ソラギツネが宇宙を感じる作品を紹介するよ......どんなものにでも宇宙はひそんでいるのさ。
宇宙のはてについて感じる本
「宇宙からきたかんづめ」(佐藤さとる)
コロボックル物語で知られる
佐藤さとるさんの短編集です。
宇宙の果てから来たという「缶詰」に
主人公の少年が不思議な小話を聞かせてもらう
という構成で進みます。
その中に「とんがりぼうしのたかいとう」
というお話があります。
誰も登頂した者がいないという
とんがりぼうしの形をした高い塔に
チャレンジする若者のお話です。
塔の構造や不思議な仕組みを通して、
「宇宙の果て」という言葉を
独特の表現で教えてくれます。
「高い塔のてっぺん」=「宇宙の果て」に挑もうとする若者が
どうなってしまうのか。
野心的なSFです。
「宇宙」も「果て」も人の作った言葉に
過ぎません。
実際の世界と対峙した時、
私たちには表現する言葉が
まだまだ足りていないのかも。
私はそんな気持ちになりました。

※コロボックル物語の作画をされていた村上勉さんのイラストが入ったフォア文庫のものは古本でしか手に入らないようです。
(宙フェス夜市編集部)